2013.07.24

vol.7 驚きのマリアージュ

今回のマリアージュは、豚肉ソーセージの煮込みとフランスボルドー・ポムロール村のワインです。
料理は、見た目の色がこく味濃そうですが、オードブルとしての一皿です。
この黒に近いスープは、イカスミを使っているからです。ベースの牛のコンソメにイカスミを加えることで、肉の旨味に魚介のニュアンスが加わってより、複雑にして美味です。ヘビーなスープには仕上げておらず、前菜としても納得できる味わいです。その中には、豚肉の様々な部位(スネや顔も)で作ったソーセージは数種類のスパイスをブレンド、中には実際訪れたこともあるフランス・バスク地方の伝統スパイスデスプレット(辛味の少ない唐辛子スパイス)を加えています。
これにより、様々な食感と香りがより、味覚、嗅覚、触感を刺激します。
そのソーセージにさらにスープの旨味が加わり、もう収集つかない!と思いきや、これが一体化しています。
よく分析すると、個々の味わいが感じられますが、口の中では完全に混じり合って1つの味に感じられます。
そんな料理には、やはり完全なバランス力をもつ、ワインを合わせたいところです。
’97シャトー・ラフルール・ド・ゲイ。フランスボルドー・ポムロール村産の赤ワインです。ボルドー出も非常に小さな地区で、生産されるワインの量も少ない地域ですが、とても魅力的なワインを多く産出しています。中でもこのワインは、ボルドーでは珍しい単一ぶどう品種です。完熟したメルローから造られ長い期間の新樽熟成を経て、瓶詰めされます。特徴はメルローらしいリッチなボリューム感です。果実味がはっきりしている為、樽の香りは控えめです。それが、より豚肉ソーセージとの相性を良くしています。
牛コンソメとイカスミの濃くに、ソーセージの味が加わった料理に互角に張り合えるバランスと熟成による複雑さとラフルール・ド・ゲイが不思議と口の中で中和しています。そしてシェフが、隠し味と加えたオレンジピールの香りがより楽しませてくれます。
ソムリエの立場からすると、スープ系には赤ワインは特に難儀なことですが、このマリアージュは以外さも感じられるベストマリアージュだと思います。
このような思わず笑顔が出てしまうマリアージュは、人を幸せにしてくれます。
ラフルール・ド・ゲイ=陽気な花。名前もぴったりではないでしょうか?

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