2014.05.06

vol.16 器の話

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今回は、エスポワールで使っている器についてお話したいと思います。
エスポワールで作る料理には、この料理にはこの付け合わせ、このソース又はこのお皿という決まりは作っていません。
エスポワールでは、リアルタイムに季節を感じて頂くためやワインとの相性・天候・お客様の年齢や好みによって、ソース・盛り付け・付け合わせを微調節して、よりお客様に楽しんでいただけるように心がけています。
中でもお皿は、料理を印象づけてくれる大切なものです。
白いお皿であれば、盛りつけられた料理そのものを引き立て、印象づけてくれますし、ガラスの素材であれば食材の鮮度をよりよく感じさせてくれたり、涼しげに感じさせてくれます。また、絵柄の入ったものは柄に寄りますが、料理の見た目を重厚にしてくれたり、クラシカルな雰囲気にしてくれます。
ジビエ料理を盛り付ける時には、シェフはクラシカルなデザインのものを選びます。
なかでも年代の古い器は、優しい色合いと花をあしらった柄のものが多く、料理をその年代にタイムスリップさせてくれます。
さらに、『Bone China』と呼ばれる牛骨粉を混ぜて焼き上げた器では、焼きあげる温度が少し低めのため、より様々な塗料を使うことが出来、鮮やかなものが多いです。
白色も綺麗なので、ソースの色がともて綺麗に写ります。料理とワインのマリアージュがあるように、料理と器のマリアージュも食事をとても楽しくさせてくれます。
食後のコーヒーや紅茶をお出しするカップも、様々なデザインのものを使います。カップのベースの色(白が多いですが)も、黄色がかったものから、ほんのり水色に見えるものもあります。

メーカーによって違うのですが、それらに同じコーヒーや紅茶を注ぐと色が違ったように見え、コーヒーをより濃く力強く見せてくれたり、紅茶のトパーズ色を鮮やかに見せてくれたりします。そこに注目するだけで、新たな発見もありますし、贅沢な気持ちにもさせてくれます。そのような器の中でも、シェフのお気に入りのものをご紹介します。
まずは、イギリスの陶磁器の里と呼ばれるストークオントレントのコロナウエアという窯元が作った磁器です。1920年頃のもので、お皿の中央部に色鮮やかなキジが描かれており、陶磁器としてはとても綺麗な赤や緑が出ています。これに一目惚れして購入したそうです。残念ながらお料理を盛り付けての提供は、ナイフなどで絵柄が傷ついてしまう為、しておりませんがエスポワールの店内に飾られておりますので、上品で可愛らしいキジを見に来て下さい。
もう一つは先程も少し触れましたが、年代ものの日本を代表する陶器メーカー、ノリタケの1910年~1950年代位のものです。主に国内向けのものが多いのですが、様々なサイズ・形のものがあり、お料理やその提供の仕方によって使い分けています。これらは、その当時の価値観や流行・技術などが伝わってきますし、お料理自体の雰囲気をよりクラシックなものに変えてくれます。お料理を演出する器にも注目していただくと、シェフのその料理に対するイメージやどんなところを見て欲しいかというのも感じられてきます。
是非、器も含めたお料理全体から様々なメッセージを感じていただき、より贅沢なひとときをお過ごしください。