2014.10.21

vol.18 白土馬鈴薯とシュナン・ブラン

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今回ご紹介する料理とワインのマリアージュは、白土馬鈴薯のロールケーキとロワールワインです。
エスポワールのコース料理には、野菜のひと皿という、その時期に採れた様々な野菜を使っての一品が出てきます。
今回はじゃがいもを使った料理です。白土(はくど)馬鈴薯と言われる、長野県東御市の一部の特別な土壌で栽培
されたものです。粘土質土壌は乾くと白っぽく見えるので白土と呼ばれ、そこでできるじゃがいもは甘味が
強くなるのが特徴です。

その甘味あるじゃがいもは温かいスープにし、ガラスの器に流します。そこに一緒に加えるのは、じゃがいもを
香ばしく揚げた物です。最後にじゃがいものピュレとクリームをスポンジ生地でロールケーキのように丸めた、
スイーツではなく料理としてのじゃがいものロールケーキをスープの中に盛り付けます。じゃがいもはクリームとの
相性もよく、さらに揚げたものは、食欲をそそられるような香りも出てきます。じゃがいもを様々な表現で楽しんで
いただくひと皿です。

この料理には、フランスロワール地方のヴーヴレーという白ワインをおすすめします。

今回の生産者はバイオダイナミクス農法を実践しているユエという作り手です。科学的なものは使わず、
自然に逆らわない栽培、醸造をしています。原料となっているぶどうは、シュナンブランという品種で、スパーク
リングワインや甘味を残してデザートワインにもなるオールマイティーな品種で、魚介系の料理ともよく合います。
中でもほんのり甘味をもつタイプが、この野菜のひと皿にはよく合います。このヴーヴレーを口に含むと、
この時期諏訪地方でも収穫されるかりんのような香りや、はちみつのような甘いフレーヴァーが鼻にぬけ、
はっきりとした酸味も感じるのですが、ワインがもつ甘味とうまく中和してよりバランスよく感じます。ただこの
ワインを冷やしてしまうと、酸味が強調され、温かい料理との温度差が出てしまうため違和感を感じてしまいます。
ですので、料理と合わせる温度は14~15℃くらいがよいです。そうすることで、じゃがいものスープの味と、
ワインのまろやかな酸味がうまく調和されます。そしてロールケーキ状に仕立てたじゃがいもクリームとは、両方の
余韻を残しながら消えていく感覚があり穏やかなマリアージュを楽しませてくれます。

この料理は、シェフからの白土馬鈴薯を使ったひと皿という課題に厨房スタッフが、東御市の農家さんの所へ行き、
じゃがいもを仕入れるところからスタートしました。試作と試食を繰り返し、シェフとのイメージが一致したのが
このひと皿です。

食べると優しい気持ちにさせられる料理と、よりゆっくり時間を感じさせてくれるようなワインとのマリアージュです。

ソムリエ 野村 秀也