2015.02.08

vol.20 記憶に残るワイン「ロマネコンティ」

私は、エスポワールでソムリエになってから今日まで、数多くのワインに関わってきました。
その数は数え切れませんが、カジュアルに楽しめる銘柄から人生において特別な日を演出してくれたものなど
様々でした。
そのような中でも、印象に残るワインの一つはソムリエにとっても憧れのワイン『Romanee Conti』です。
ロマネ・コンティは、飲み頃を見極めることは難しいとされ、開けた瞬間、部屋中に香りが広がったという話や、
逆に開けてみたけど平凡だったという感想もよく聞く話です。
世界で最も歴史と数々の逸話をのこし、あこがれの的でもある
ロマネ・コンティ1973年を開けた時の感想をメモしていましたのでご紹介します。

「生産本数9627本造られた中の1本。コルクに若干の難があり、少し乾燥が見られた。
キャップシールの下はカビに覆われ、液漏れの心配があった。コルク前半はフカフカしているが、下半分は
しっかりしていた。ボトルは70年代の前半特有のグリーンボトルの為、外観からの色の判別は出来なかったが、
注がれたワインは、ロゼに近い位の明るいオレンジ。ほんの少し淵は茶色を帯びている。とても綺麗な色で、
グラデーションはほとんど見られず、同じトーンの色合い。香りは閉じている印象。控えめな熟成香。
ブランドネームからの想像より香りの出方が少ない。コンディション自体は良かったが、73年という作柄の為か?
湿った木、ポートワイン、チェリー、皮、藁などの香りが嗅ぐ度に代わる代わる出てくる。口に含むと、驚くほど
シルキーで柔らかく、甘く感じるうま味だけが残っており、ワインの中の刺激となるものが消えたよう。
よくロマネコンティの味わいは、球体で例えられるが、その表現がよくわかる。
今までに味わったことのないピノノワール。これが熟成したロマネ・コンティの特徴なのだろう。
このドメーヌ特有の香りは残っており、何回嗅いでも飽きることがない。時間とともに酸が強くなって
いくのかと思いきや、とても持久力があり、グラスの中での急な変化は見せない。これもロマネコンティの特徴の
ように感じる。徹底したブドウの遅摘みにより、ここまでの甘味が残るのか?ボトル後半になると、少しずつ旨味と
酸味が強くなるが、全体の印象は変わらないままである。
このワインとのベストマリアージュは、この日のデザート「春いちごのスープとホワイトチョコのブランマンジェ、
ロングペッパーの香り」とお客様がいっていた。」
ディナーにこのワインと料理を楽しんでいかれたお客様でした。
このメモを読むと、いまでも鮮明に味の記憶がよみがえります。
ソムリエの資格を取得した翌年から今日まで、当店で扱ったワインやテイスティングしたワインを全てでは
ありませんが記録しています。最初は、ワインを覚えるためのトレーニングとして始めたのですが、それと同時に
そのシチュエーションも思いおこされて、どのような対応をしたかや、どのような料理と合わせたのかということ
などの記憶が蘇って、今現在の自分のサービスにもとても参考になっています。
過去のワイン、料理を振りかえって、そのシチュエーションを懐かしく思うのも素敵な時間ですね。
皆さんも記録をつけてみては如何でしょう?

ソムリエ 野村 秀也

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